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ペットの病気と予防

インスリノーマ

症状・原因など

インスリノーマはリンパ腫、副腎疾患(副腎腫瘍)と並んでフェレットの三大腫瘍とよばれており、高齢のフェレットに多くみられます。

インスリノーマとは膵臓の中のインスリンを分泌する細胞が腫瘍化したもので、糖の取り込みに関わるホルモンであるインスリンが過剰分泌されることにより血糖値が下がり、低血糖になります。

低血糖状態では

  • 元気がない
  • よだれをたらす
  • 目に力がない(うつろになる)
  • 体重が減ってきた
  • 食欲があまりない(個体差があり、食欲は無くならない場合もあります)
  • 寝ている時間が長い
  • 体温が低い
  • 昏睡状態になる
  • けいれんや発作を起こす

などの症状が現れることがあります。

遺伝や食事が原因ともいわれていますが、はっきりした原因はまだ解明されておりません。

診断としては低血糖からの症状や血液検査から診断します。また、他の疾患が併発していないか確認するうえでレントゲン検査や超音波検査などの画像検査なども行うこともあります。

インスリノーマを発症しているフェレットでは他に副腎疾患やリンパ腫、心臓疾患等も併発していることが多く、それらの疾患への治療も必要になることもあります。

治療法・予防法など

治療としては食餌管理、内科的治療、外科的治療に分けられます。
 
上記のうち、食事管理は最も重要とされています。良質な動物性タンパク質と脂肪を多く含む食餌(良質なフェレットフードやキャットフードなど)を中心に1日を通してしっかり与える必要があります。血糖値をあげるためといってフェレットバイトやコーンシロップなどの糖類を与えてしまうと、血糖値の急激な上昇がインスリンの過剰分泌を引き起こして重度の低血糖になる可能性がありますので、日常的にこれらのおやつ類を与えることはできる限り避けるようにしてください。
 
内科的治療では、プレドニゾロンやジアゾキシドとよばれる薬を用いて血糖値を上昇させることでふらつきなどの症状を改善させます。はじめはプレドニゾロンのみで治療を開始しますが、経過とともに薬の用量が増加したり、薬を追加したりする場合が多いです。
 
外科的治療のみでは手術をしても正常な血糖値を長期間維持できることは少なく、半年以内に内科的治療もしくは2回目の手術が必要になることが多くあります。また、麻酔のリスクもあるため、当院では積極的には推奨していません。

継続的な治療で大事なこと

ブドウ糖を用意しておく

けいれんや発作が起こった時に飲ませてあげてください。蜂蜜をお湯に溶かしたものでも大丈夫です。
発作が起こっている時は噛まれてしまう可能性がありますので、シリンジや綿棒などを用意していただき事故が起こらないように気をつけて処置を行ってください。

フェレットバイトは与えない

食餌管理の部分でも触れましたが、フェレットさんの大好物のフェレットバイトや甘いおやつを与えると、血糖値が急上昇し、反動で低血糖を引き起こすようになります。そのため、緊急時以外は与えないでください。

お薬を自己判断で減らしたり止めたりしない

インスリノーマは完治の望めない進行性の病気です。そのため、定期的な血液検査が必要です。決められた容量・用法を守ってきっちり飲ませていただかなければ、血糖値をコントロールすることができません。やむを得ず容量や用法を変えられる場合は、必ずご相談ください。